15分 4人台本 男:0~2 女:2~4 作:メイロー

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シャイガール選手権

著:メイロー

登場人物

小林……実況、男(女に変えても可)

高木……解説、男(女に変えても可)

古賀……ツンデレ、女

夢野……ヤンデレ、女

真面目に演じることで面白くなる、シュールで馬鹿げたコメディ台本です。


小林『第128回全国シャイガール選手権、決勝戦! 皆さんこんにちは。実況の小林啓太です』

高木『解説の高木亮です』

小林『高木さん、早いモノで本日がもう決勝と言うことですが、ここまで振り返っていかがでしたか?』

高木『いや、今年はね、例年以上に番狂わせが起きていましたからねー。この決勝もどんな戦いが繰り広げられるのか、楽しみです』

小林『そうですね。シード枠である九州代表の奥由香選手がまさかの2回戦敗退。昨年優勝の秋田の白井選手も準々決勝で姿を消していますからね』

高木『彼女たちも良い演技をしていたんですけどね、今回は、相手が悪かったとしか言い様がない。今までのテンプレを大きく壊す形で攻められましたから。あれに対応するアドリブ力というのは――』

小林『あ、選手達の準備が整ったようです。まず、会場に現れたのは千葉県代表、古賀幸(さち)選手です。お聞きくださいこの割れんばかりの声援を。代々木体育館一杯に鳴り響くのは彼女の応援団が演奏する「テレカクシノコブシ」これは、古賀幸(さち)選手が五日前、一回戦で見せた演技を見たファンの方が制作したオリジナル楽曲だそうです』

高木『五日間でオリジナル曲を作って、楽団として演奏する。ファンの熱い思いが伝わってきますねー』

小林『続いて登場してきたのは昨年のチャンピオン白井選手を破り、この決勝にたどり着いた新星、埼玉県代表、夢野(ゆめの)早(さ)希(き)選手です』

高木『今日もトレードマークの般若のお面を被っていますね。これまでも顔を隠して登場した選手は何人かいましたが、般若のお面というのはシャイガール史上初めてのことです。何せ見た目が怖い。ほんっとに怖い。だというのにこの人気ですからねー』

小林『何が起こるか分からない。これこそがシャイガール。ということですかね?』

高木『はい』

小林『改めましてここでルールの説明をさせていただきます。1ラウンド10分制の3本勝負。ゴングの合図でリング上の隆君を巡っての三角関係へと発展します。そのさい、物理的な接触は不可。あくまでシャイガールとしてアピールをしていかなければなりません。各ラウンドの判定結果は5人の審判の最高最低得点を省いたものを点数とします』

高木『大会は一貫して同じ人が審判団を務めるのが慣わしなんですね。ですから大会最高得点がもっともでやすいのがこの決勝という訳なんです。彼女たちも審判団の好みを研究していますからね』

小林『ですが、今大会、まさに番狂わせの演技をしてきた古賀選手と夢野選手です』

高木『そこですよね。はっきり言って僕にも全く予想が付きません。一体どんな試合になるというのか』

小林『さあ、両者準備が整ったようです。なお、今年から好評を博している隆君、無音声化放送ですが、この決勝戦でも行います。例年通り、隆君の声を聞きたいという方は副音声でお楽しみください』

高木『今年の隆君はだいぶオラオラ系ですからね。彼女たちとのギャップを楽しむのも一興ですよ』

SE ゴング

小林『さあ、ゴングが鳴りました! 今年のシャガールクイーンの栄光はどちらの手にわたるのか!?』

古賀『まったく隆は! 何でいつもいつも寝坊ばっかりするのよ! おかげで私まで遅刻じゃない!』

高木『遅刻シチュエーションのようですね』

古賀『はぁ!? なに? 私のせいだって言うの? あんたが時間通り起きて私を起こせば良いだけじゃない!』

小林『来ました!理不尽極まる古賀の言い訳!』

高木『これまでの試合同様、序盤ではまったくシャイじゃないですね。ですが――』

古賀『自分勝手で何が悪いのよ! 朝は最初に隆の顔を見たいの! じゃないと、その・・・・・・』

小林『おおーっとここで積極的に仕掛けに行った!』

高木『いけませんね、これは積極的すぎる。ファールの可能性も』

古賀『下僕であるあんたのお父さんの忠誠度合いが分からないじゃない!』

小林『キター! トリプルA難度のツンデレ女子! シャイにも色々あると言うことかー!』

高木『いえ、これはそれにプラスして、寝取られ属性も入っていますね。しかも相手は隆の父親。隆のことが好きだけど、素直に伝えられないから父親から籠絡したあげくそれで妬いてもらおうという女子の乙女心が完璧に現れている素晴らしい演技です』

小林『審査員席でも神妙にうなずいている様子が見られます。まずまずの高評価というところか!』

夢野『ダメだよ隆君。ちゃんと寝ないから遅刻しちゃうんだよ。夜眠れていないの?』

小林『ここで夢野が動いた!』

夢野『そっか。じゃあ今度牛乳温めてあげるね』

高木『不眠症気味の隆君にホットミルクをあげるのは良い優しさですね。ただ、シャイ度の低さとシチュエーションの不可解さがある。これは――』

夢野『チョコレートも入れて少し甘くするとよく眠れるんだよ。いいの。大丈夫。そのまま子守歌も歌ってあげるから』

小林『審判団が協議していますね』

高木『明らかに積極的ですからね。カードが出るかもしれませんよ』

小林『あ、あれ? 審判団が首を振っていますね。試合続行のようです』

夢野『(※次の高木達のセリフの裏でちょっと声小さめで。)うふふ、隆君の寝顔すっごく可愛いから私の方が寝不足になっちゃいそう。そうなったら困るから、お布団も持って行こうかな。同じ布団には入らないよー。隆君はエッチだなー。そういうのは大人になってからだよ。大丈夫。お互いがずっと思い合っていれば――』

高木『あ! 夢野選手の手元を見てください! あれは』

小林『あれは、テディです! ミニテディベアのテディです!』

高木『そのテディに向かって言っているんですよ! なんてことだ!』

小林『つ、つまりどういうことですか?』

高木『つまり、夢野選手のセリフは全て隆君ではなく、手元のテディに向かって話しているのです。ほら、隆君とさっきからまったく会話がかみ合っていない!』

小林『皆様、今すぐ副音声に切り替えてみてください。本当ですね。隆君はさっきから夢野選手との会話が出来なくて焦っています』

高木『つまり、夢野選手は直接話すことも出来ない超弩級のシャイガールを演じているのです。かつ! あの内容。猟奇的でストーカーとも取れる雰囲気はまさにシャイなヤンデレ。シャイヤンとでも言いましょうか』

小林『今にもすごい声量で歌い出しそうな名前ですね!』

高木『あ、古賀が動きましたよ』

小林『1ラウンドにして早くも直接バトルが繰り広げられるのか!?』

古賀『あんたね! いつもいつも隆にくっついて何がしたいの!? 直接話も出来ないストーカやろう!』

夢野『気持ち悪い殺すぞ』

小林『ストレートですね』

高木『般若のお面がよく似合っています』

古賀『そ、それはこっちのセリフなんですけど!』

夢野『あなたの場合、隆君のこと何も考えていない。全部自分の欲望のままだもの。そのくせ素直にもなれないものだから隆君の気持ちを揺さぶることでしか自分を救えないのね。惨めだわ。本当に悲しいぐらい惨め』

古賀『そ、そんなことないわ! 私だって・・・・・・』

高木『夢野選手、上手いですね。古賀選手はここで隆のためを思っているとは言えないんですよね。それだとシャイじゃないから』

古賀『うわーー(以下次の小林達のセリフの裏で)ーーーーーーーん!! そんなことないもん! 私だって、うわーーーん!! ちがうもん! そうじゃないもん!!』

小林『ここで来ました! 諸刃の剣とも言われる泣き落とし! 今も昔も女の涙に強い男なんてどこにもいないといわれているが、けれども使うタイミング次第では敵を増やすことにもなりかねません! これはどうみますか?』

高木『僕としてはポイント高いですけどね。元々のキャラクターをツンデレに設定したことが功を奏したと言いますか。また泣き方が子供っぽい。これもギャップとしてはかなり良い! ですが、』

小林『シャイ度としてはどうなのかということですね?』

高木『そうですね。泣くという演技、特にこういう子供っぽく泣くと言うことは感情を爆発させる必要がある。それはつまり、自己表現。言うなればシャイとは真逆のものですからね』

小林『なるほど、何か秘策はあるのか古賀選手! それともチャンピオンを破った夢野選手の実力が本物と言うことか!』

高木『あっと、ここで隆君が古賀選手に近づきました。どうやら慰めているようですね』

小林『あれだけ泣いていれば、さすがの隆君も見て見ぬ振りは出来ないと言うことですね』

高木『今年の隆君はオラオラ系の割にかなり優しいところがありますからね。そこも読んでいたのでしょう』

小林『古賀が泣き止みましたね。袖で涙を拭いて、そして、ポケットから』

高木『あー、そう来ましたか』

小林『酢昆布です! 泣いたあとには塩分とミネラルの補給が必要ということか!』

高木『それもあるでしょうが――』

古賀『あ、あげるわよ。あまり美味しくなかったから』

小林『お礼に食べかけ酢昆布を渡す女子! 来ましたね!』

高木『和の文化を混ぜることでにシャイ度の香り付けをしましたね。そしてやはり彼女はツンデレが似合う!』

小林『食べかけの酢昆布というところはどうですか?』

高木『これは審判団の好みによりますね。このご時世と言うこともあってあまり快く思わない人も――』

小林『概ね好評のようです! ガッツポーズもでていますね!』

高木『そうですか。今年はテンプレがハマるのですね』

夢野『だ、ダメです。隆君、もらっちゃダメです!』

小林『対して先ほどまで優勢に立っていた夢野が明らかに焦り始めた! しかも完全に隆君に向かって話しかけています』

高木『こんな姿は全試合通して初めて見ますね。まだ第1ラウンドですし、酢昆布のファインプレーがあったと言っても、通してみれば夢野選手のほうが優勢と見られると思うんですが』

夢野『どうしても誰かにあげるって言うなら私がもらいます!』

古賀『はぁ? 何で私があんたにあげなきゃいけないのよ』

夢野『どうしてもです!』

古賀『訳わかんない。良いからあんたはその熊ちゃんとでも遊んでいなさいよ』

夢野『熊ちゃんじゃありません! 隆君です!』

古賀『どうでもいいわ。根暗、あんたのそれは傲慢ていうの。謙虚さなんてみじんもないわ。一方通行の会話を押しつけられて誰が喜ぶと思うの?』

夢野『違います。私の言葉は、私の中で消化しているだけです。直接、話すのが怖いから。押しつけてなんていません』

古賀『1人で部屋に閉じこもってやっているならそれでもいいわよ。けれどあんたのは気づいて欲しい。構って欲しいって傲慢さがにじみ出てる。いえ、あふれ出ている。それはもう、言葉よりも雄弁に物語っているわ』

夢野『そうかもしれませんね。けれどそれはあなたにも当てはまる。奥ゆかしさのかけらもないじゃない』

小林『今度は古賀の舌戦に夢野が押される形か?』

高木『ですが、妙ですね。夢野が落ち着いてきました。さっきの慌て方は何だったのでしょうか?』

小林『たしかに。どうやら古賀もその辺りに気づいた様子』

古賀『まあいいわ。とにかくこの酢昆布は隆にあげる。お礼だも――』

夢野『ダメ!! どうしてもいらないって言うなら私がもらうわ!』

古賀『はぁ!? なんでそんなに拘るのよ!』

夢野『だって!だって!! 私は!古賀ちゃんの食べかけが欲しいから!!!!!』

古賀『は・・・・・・?』

小林『こ、これは、どういうことだ? まさかの古賀狙い宣言? ですが、ルール上、リング上の隆君を取り合うことになるのがシャイガール選手権』

高木『いえ、ちょっと待ってください。ルールブックを今確認しているのですが・・・・・・あった。シャイガール公式ルールブック第一条、「リング上でシャイで可愛い姿を見せつけること。その際、ボディタッチなど直接的誘惑は禁止とする。」どこにも隆君の記述がありません』

小林『え!? そうなんですか? ですが、過去の大会全て、相手は隆君でしたが』

高木『はい、そうなのですが、第1条から第3条の全てのルールを読んでも隆君の記述がないんです!』

小林『なんと言うことでしょう!! まさかの抜け穴! 審判団も慌ててルールブックを開いている様子が見られます』

高木『おそらく初代会長の名前が隆だったことから伝統的に隆が使われていたのでしょう』

小林『恐ろしい! その般若のお面の下には一体どんな悪魔の姿がかくされているというのか夢野選手! 運営をも手のひらの上で転がすその姿は、まさにシャイガールの鬼神だ!』

夢野『私、いつか、触りたいの。あなたの、むn、大胸筋。とか、くびr、腹直筋とか、おしr、大殿筋とか、とにかく色々触りたいの!』

小林『センシティブを筋肉名称にしての発言!』

高木『たたみかけてきましたね。シャイガール語録連発ですよ』

古賀『だから何で! あんたは隆を狙って・・・・・・』

夢野『違う! けど、何故かなんて、私の口からは言えないわ』

小林『ここで古賀が痛恨のミス!』

高木『アシストしてしまいましたね。わかりきった答えを頬を染めて言葉を濁す。黄金パターンを披露した夢野選手に審判団も腕組み後方彼氏づら! しかし、般若のお面が邪魔で頬が見えないところがマイナスですかね』

古賀『そう・・・・・・分かったわ。だけど私は、私の気持ちに正直に生きる。だからあんたの気持ちには応えられない』

夢野『違うの! そうじゃないの!』

小林『またもや夢野の様子がおかしいぞ!』

高木『そうか! わかった! 夢野は気づいていたんだ!』

古賀『もういいわ。あなたは頑張った』

小林『どういうことですか?』

夢野『良くない! だからそれ以上言わないで!』

高木『だから酢昆布を隆君にあげて欲しくなかった!』

古賀『いえ、言うわ。これだけはハッキリと言わなければいけないと思うから』

小林『だからどういうことですか解説の高木さん!』

高木『だからつまり、シャイガール!』

夢野『やめてーっ!!!』

古賀『ありがとう。私を好きになってくれて』

下記小林のセリフ途中でSE ゴング

小林『謝意ガール! これは謝意ガール! 感謝の気持ち、謝罪の気持ち、ダブルミーニングの籠もった謝意の言葉! おーっとここでゴングが鳴った! これは――TKOです! 審判団が全員あまりに美しい演技に全員ぶっ倒れた! シャイガール選手権128回の歴史を持ってしても初代会長が自ら隆君役と審判を兼任した第1回大会以来となるテクニカルノックアウトがでてしまいました!』

高木『その反省を生かして、隆君と審判は別の人間がやるようになったのですが。まさか100年以上の時を経てこの光景が見られる日が来るとは、私も非常に感慨深いです』

小林『超新星の般若シャイガール夢野が破れる! 今年のシャイガールクイーンは千葉の『寝取られ支配系シャイガール』古賀幸選手です』

高木『いやー、この決勝で二つ名も変わると思いますね私は。『ごめんなシャイガール』古賀の誕生でしょう』

小林『まさに歴史に残る一戦でしたね』

高木『本当に、生きてこの試合を見ることが出来て良かったです』

小林『なお、古賀選手へのインタビューはニュースをはさんでからの放送となります。ここまでの実況は私小林と解説の高木さんでお送り致しました。高木さん、ありがとうございました』

高木『ありがとうございました』

小林『それでは一端失礼いたします』

end.

2021年3月13日『みんなで脚本書いたら全員カオスな作品になりました』参加作品(下記リンク参照)

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